赤ちゃんの離乳食が始まったり復職に向けた準備をはじめると、「卒乳」「断乳」について考え始める親御さんも多いのではないでしょうか。
そもそも「卒乳」と「断乳」の違いですが、子どもが自然に母乳を飲まなくなることを「卒乳」と言い、親が授乳をやめる日を決めることを「断乳」と言います。
◆授乳について
母乳を与えると「愛情ホルモン」「愛着ホルモン」と呼ばれるオキシトシンというホルモンが活発に分泌されます。また、与えられる子どもの脳内でも分泌が高まり、このホルモンによる安心感が相乗効果をもって安定した愛着関係を育むことになります。
◆「卒乳」について
「卒乳」は子ども主体であり、子どもは自分が満足するまでおっぱいを飲むことができるため、子どもにとっては負担が少なく精神的安定が得られます。あげられる回数が減ってしまっても、お互いにほっと一息つけるスキンシップの時間として授乳を続けていくことも可能です。
しかしながら、授乳しないと寝てくれなかったり、大きくなってきて力強く吸われることでおっぱいに痛みが生じるなど、お母さんにとっては時間や体力、精神力を消耗するデメリットが生じます。子どもが言葉を理解できる時期であれば、子どもと一緒におっぱいの卒業について相談し、卒乳を促すことも一案です。
◆「断乳」について
「断乳」は母親主体ですが、仕事復帰のためにやむを得ず断乳を選択する場合も多いかと思います。断乳が成功すればお母さんの体や心に余裕が生まれ、それまでに授乳に割いていた時間をそれ以外のことに使えるようにもなります。また、入眠時に授乳の習慣があった場合は、子どもの入眠がスムーズになり、夜も途中で起きることが少なくなるなど母子ともに身体面でのメリットは高まります。
しかしながら子どもがおっぱいを諦めるまでの葛藤やかんしゃくに付き合う必要があるため、受け入れてもらえるまでの関わりには、一時的に大きなエネルギーを費やすことになるというデメリットもあります。また、母親主体で決める「断乳」には母親自身の罪悪感が生じたり、それが逆にストレスになることもあります。
断乳を受け入れるまでの子どもの葛藤を目の当たりにするのは親として辛いものですが、その葛藤から子どもは我慢を学び、自己抑制する力を引き出すことに繋がるという側面もあります。お母さんは授乳を拒否しながらも、子どもの存在を受け入れて、抱きしめるなど授乳以外のスキンシップを図ったり、言葉で愛情を伝えるなどして揺るがない母親の存在を感じてもらえるように心がけるとよいでしょう。
◆それぞれに合ったやり方や進め方で
「卒乳」「断乳」どちらにもメリット・デメリットがありますが、現在は母親が望む限りはおっぱいを飲ませ続けてもよいという時代の流れにあり、様々なあり方を認める考え方が広がってきています。仕事と育児の両立などでお母さんの心や体に無理が生じるようであれば、おっぱいをやめることを検討してもよいのかもしれません。
また、授乳期間中に下の子を妊娠した場合などは授乳によって子宮が収縮することもあるので、そのときはやめる必要も出てくるかと思います。おっぱいをやめる際に大事なのは、画一的な方法ではなくそれぞれの親子の状況や考え方にそって柔軟に進めていくことです。
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